The American Oboe

最近、素晴らしいオーボエを手に入れました!

そのオーボエがこちら…

 

 

William Lym製のオーボエ(serial number: 45)です。

William Russell Lym(1895-1965)はアメリカのオーボエ奏者 / 製作家で、クリーブランド交響楽団などを経た後、ロサンゼルスに拠点を移し、多くの映画などにスタジオ音楽家として活躍しました。そして1950年代〜(おそらく彼が亡くなった)1964年まで、ロサンゼルス近郊の小さなアトリエで、およそ400本のオーボエを製作し、そのオーボエは多くのハリウッドやウォルトディズニーのスタジオ音楽家から愛用されたようです。

 

 

当時のアメリカでは、ロレーやキャバールなどのフランス製のオーボエが多く吹かれていたようですが、プロフェッショナルな奏者が使うアメリカ製のオーボエとしては、1931年からニューヨークでオーボエを製作している、あのAlfred LaubinとロサンゼルスのWillam Lymの2メーカーだけだったという話もあります。1956年からはAlfred Laubinの息子のPaul Laubinも一緒に製作していたようです。(そしてちょうど今日、彼の訃報のニュースが入ってきました… 20世紀以降のアメリカンオーボエの歴史に大きな功績を残した彼を失ったことは、本当に残念なことです。)

さてWilliam Lymのオーボエですが、たまたま有名なオークションサイトで売られていたものが、縁あって私のところへやってきたのでした。彼が生涯作った約400本のうちの1本ですから、とてもラッキーだったと思います。

状態を見てみましょう:

 

 

全体的にガッチリとしたキイの作りで、古い楽器ですがキイのガタつきなどもほとんどありません。第3オクターブは付いていないタイプです。

 

 

下管の状態もとても良く、艶がありとても目の詰まった良い木材が使用されていることがわかります。フォークFレゾナンスキイは付いていません。古いロレーの楽器の中にも、このキイをあえて付けていないモデルがあるようです。

 

 

ベルには「W.R.LYM USA」(裏には45)と刻印されています。Low B-flatレゾナンスキイも付いておらず、A=442ではめちゃめちゃ低いB-flat(ほとんどA)が出ます。また、ベルの壁はガラスのように薄いです。

 

リードを付けて吹いてみると、なんとも心地よい吹奏感で、明るく軽く、全体的に音楽的に必要な「雑味」が多く感じられるサウンド。吹奏感が軽いものの、音がザラザラとした質感(まるで古いアナログレコードを聴いているような)なので、小さい音でも気持ちよくラクに演奏できます。スタジオの奏者が好んだ理由が分かる気がします…。

ただし、私が普段ロレーのオーボエで使用しているような、ショートスクレープのリードでは、フォークFが裏返ってしまい、うまく機能してくれませんので、やはりロングスクレープのリードが似合うようです。

 

最近はこの本に載っている、Lymのオーボエを吹いていた人やその先生など、ロサンゼルス近郊で活動していた奏者のリードのデータなどを参考に、リードの研究をしています。

 

 

先日、組んでいるアンサンブルのリハーサルでもこのLymのオーボエを吹いてみましたが、メンバーの反応もとても良く、今までよりさらに楽しい音楽ができる気がしてなりません!

 

ただし大きな問題も抱えており…

 

 

この赤い線…なんとすべて割れています…!!!古い楽器なので仕方ありませんね…。ですから、いつ割れが広がっても良いように、現場には必ずいつも修理用の接着剤を持参します。

しかし、こういう歴史を感じられる楽器と関わっていると、会ったことも当然ない、遠い離れた国の、いにしえの大先輩方と会話をしている気にすらなります。今後、この古き良きハリウッドのオーボエを、どんどん演奏していきたいと思います。

 

Lesson

オーボエ奏者 荒井豪 レッスン
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