ウィンナオーボエ修行

バッハ・コレギウム・ジャパンの一員として、シュトゥットガルト音楽祭、そしてライプツィヒ・バッハ音楽祭で演奏するためにヨーロッパに行ってきました!

ライプツィヒ音楽祭ではアジアの団体としては初めてのファイナルコンサートに出演ということで、約2700人のお客様に見守られて、日本人としてとても誇らしい気持ちで精一杯演奏致しました!

その(言葉通りの)「熱演」はいずれテレビでも放送される予定ですので、ぜひお楽しみに!

 

さてBCJの他のメンバーはその翌日に日本へ帰りましたが、私はあと1週間ヨーロッパに残ることにしました。「第2の故郷」であるブレーメンにいるお世話になった方々を訪ねたり、ベルリンで師匠に会ったり有意義な時間を過ごしていますが、その中でも私にとって大変重要なイベントがありました。

 

それは…

 

「ウィーンに行ってウィンナオーボエを習ってくる!」

というものでした🇦🇹

 

ウィンナオーボエとは、細い内径を持つフレンチオーボエ、いわゆる「モダンオーボエ」とは異なり、もともとドイツで使われていた太い内径を持つ「ジャーマンオーボエ」の流れを汲むもので、現在は基本的にウィーンでのみ演奏されているオーボエです。

1800年代にHajekという製作家が「ウィンナオーボエ」の原型を確立させ、その後1970年代まではZuleger(およびZuleger社)がその伝統の音を引き継ぎ守ってきましたが、その後継者が育たず絶滅の危機にさらされてしまいました。

そこで我ら日本人が誇るYAMAHAがZulegerのコピーを作り、それからしばらくは絶滅の危機を乗り越え、その後ウィーンのRadovanovicがさらに改良を重ねた「モダンウィンナオーボエ」を開発し、現在ではウィーンのほぼすべての奏者が彼のオーボエを使用するまでになりました。

「モダンウィンナオーボエ」と表現したのには訳があり、彼の楽器はとても機能的に優れていて、かつてのウィンナオーボエでは技術的に難しかったことが、より簡単にできるようになりました。これにより、フランスの近代の音楽や現代曲なども演奏が可能になったという利点もありますが、「ウィーンの伝統」という面から見ると、明らかに「音色」や要求されるテクニックも変わってしまいました。

 

そこで、1970年代まではメジャーだったZuleger社のオーボエを今でも吹いている人はどれくらいいるのか、という質問をあるオーストリア人の友人に投げかけたところ、なんと「たった1人しかいない」とのことでした…!

その方はGottfried Boisits氏で、かつて長年ウィーンフィルで活躍され、なんともうすぐ80歳になるレジェンドです。

 

(こちらの動画の4’12頃から彼の美しいソロが聴けます♪)
https://youtu.be/H2lrKuZKV-Q

 

「ウィーンの伝統の音」を今でもずっと大切にし、引き継いでいるBoisits氏に、なんとしてでもお会いして色々とお話を伺いたい、とその友人に相談したところ、メールアドレスを教えてもらえました。

 

何通ものメールを通して、私の熱い思い(🔥)を伝えたところ、なんとついに…

 

「それでは演奏を聴かせてもらいましょう」とおっしゃって頂き、ウィーンからバスで1時間半ほどの場所にあるOberschützenという小さい村でお目にかかれることになったのです!

 

午前中からレッスンは始まり、私はシューマンの有名な「3つのロマンス」を聴いて頂くことに。レッスンでは音程や音楽的なことはもちろん、「秘伝」の運指なども惜しげもなく教えて頂きました。

そして午後はオーストリア人の友人のStefan君が加わり、さらにBoisits氏はご自分のイングリッシュホルン(Zuleger社製)を持ってきてくださり、3人でベートーヴェンやヴェントのトリオの、アンサンブル大会になり、大変貴重で有意義な時間を過ごしました。

 

(自撮り写真ですが…Stefan君、Boisits氏、そして私)

 

3人でのランチの際も、アンサンブル大会の後も、Boisits氏所有の楽器について、リードについて、道具について、ウィーンのオーボエ界の歴史について…などここぞとばかりに質問させて頂き、非常に貴重な情報を「ウィーン最後のZuleger吹き」のご本人から聞けたことは、私の糧になり、一生忘れることができないでしょう。

 

2本のZuleger:左が1930年頃製作(私所有)、右が1960年頃製作(Boisits氏所有)

Lesson

オーボエ奏者 荒井豪 レッスン
お子さまから音楽大学入学を目指す方、大人の趣味として始められる方まで、年齢やレベルを問わず生徒さんを募集しています。
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ウィンナオーボエ修行” に対して3件のコメントがあります。

  1. 富永一雄 より:

    荒井様 心がときめくお話ですね。ダメもとでのお願いが叶うときほどエキサイティングなことはありませんから  LeipzigでのH-moll MESSE聴かせていただきました。三宮さんとのオーボエ素晴らしかったです。私の一生の思い出になりました。BACH FESTを聴くことが長年の夢でしたから これからのますますご活躍を祈っております。

  2. 鈴木夏美「 より:

    豪君
     豪君の探求心すごいです!かけがえのない体験ができて良かったね。日本での放送は何時ですか?楽しみです。またコンサートの案内くださいね。益々の活躍を期待してます。

    1. 荒井豪 より:

      夏美先生
      コメントありがとうございます!
      本当に貴重な経験で幸せな時間でした!!
      Bachfestのテレビ放送は実はまだ僕も日程など知らされていないので、わかり次第このウェブサイトやFacebookなどでお知らせさせて頂きます!

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