ナイフ研ぎ

オーボエ奏者にとって良いリードを持つということは、良い演奏をするのにとても重要な要素であることは、きっと多くの方がご存知だと思いますが、良いリードを作る為には良いナイフがなくてはなりません。そしてどれだけ素晴らしいナイフも上手く「研げて」いないと実力を発揮してくれません。

日本には人間国宝の研ぎ師もいるくらい、古くから「研ぎの文化」が根付いています(いました)。
これは大変ありがたいことで、身近に素晴らしい情報と道具が揃っているというのですから、自然と興味も湧いてくるものです!(とは言っても、忙しい時なんかは上手く研げないとイライラしますし、特にたくさんリードを作る方は「研ぐ時間」も「削る時間」にしたいでしょうけど…)

そういうことで、今日は私の「ナイフ研ぎ」について、ご紹介したいと思います。

まずは私が持っている砥石の種類から:

 

 

①キングハイパー #1000
②ベスター #1200
③研承 頂 #3000
④天然砥石 鳴滝本山産
⑤天然砥石 相岩谷産 コッパ
⑥天然砥石 産地不明 コッパ
⑦ダイヤモンド砥石 (主に面直し用)

これらの砥石をナイフの状態や種類などによって使い分けるのですが、よく使っているものは①③④あたりです。

続いて研ぎの流れを説明します:

■まずは①〜③のような人造砥石は使用する前に水に浸します。(気泡が出なくなるまで)

 

 

■続いて、砥石の面をダイヤモンド砥石を使って平らに直します。

 

 

※この作業はとても大切で、砥石が平らでないとナイフも正確に研げません。オーボエ奏者の中には「上手く演奏したければ、まず砥石を平らにしなさい」とおっしゃる方も…!演奏まで長い道のりです…。

 

■やっと実際に研ぎます。ナイフの状態にもよりますが、よほど酷いナイフの使い方をして欠けたりしていなければ、私は大体①の#1000から始めます。(ナイフの種類によってはなかなか刃がつかないものもあるので、そういう時は②の#1200や、場合によっては⑦のダイヤモンド砥石で研いだりもします。)この段階で重要なのは、必ずオモテ面のみを研ぐことです。

 

 

■時々このように「カエリ」がついたか、チェックします。

 

 

■次に少し番手の細かい砥石、③の#3000で研いでいきます。

 

 

※この「研承 頂 #3000」は実は最近購入したものなのですが、大変研ぎやすくて気に入ってます。仕上げの天然砥石への移行もスムーズで、良い刃が割と簡単についてくれます!

 

 

※この時点でこのような見た目です。

 

■さて遂に天然砥石の出番です。天然砥石はとても奥が深く、個体によっても性質が随分違うので、私もまだ分からない事だらけなのですが、天然砥石でしか出せない「切れ味」というものがあるようです。④の砥石を使うことが多いです。

 

 

※ここで重要なのは、黒い研ぎ汁を水で流さないこと。この天然砥石の細かい粒子を使って研いでいくイメージです。

 

■最後に「裏」を天然砥石で研いで、「カエリ」を落とします。このような片刃のナイフは意外にもこの「裏」が命のようで、ここを粗い砥石でむやみに研ぐとナイフそのものを壊してしまう恐れがありますので、慎重に丁寧に研ぐ必要があるようです。

 

 

 

■これで完了です!(私はよく指の毛なんかを切ってみて、ちゃんと研げているかチェックしています。)

 

 

…さて、やっとリードが削れます。練習できるのはいつになることやら…!

 

*今回研いでみたナイフは阿波の鍛冶屋さんに私が特注で作ってもらったナイフです。もしご興味がおありな方がいらっしゃいましたらご連絡ください!

Lesson

オーボエ奏者 荒井豪 レッスン
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