DSCF1822気が付けばもうすぐ2016年3月、このブログを書くのもすっかりご無沙汰になってしまいました。皆さまお久しぶりです。ドイツでの怒涛の12月を終えて新年に入りブログを書く余裕もできるだろうと思っていましたが、私にとって大変大きな新たな課題が舞い込んできて、1月・2月も大忙しの毎日でした。と言うのも日本での演奏会に向けての準備で、今まさに日本でその演奏会の真っ最中という訳です。

今回もまたバッハ・コレギウム・ジャパン(BCJ)の定期演奏会やレコーディング、その他オーケストラなどのプロジェクトがありますが、中でも私にとって新しい課題となったのが、あと5日と間近に迫っているBCJの名古屋倶楽部での催し物で、BCJ首席オーボエ奏者の三宮氏とのデュオ。デュオリサイタルというよりも、オーボエの進化の歴史をたどるレクチャーコンサートで、オーボエの前身とされるショームからモダンオーボエまで、様々な時代のオーボエを演奏しながら紹介していくという企画で、私も計7種類の楽器を演奏します。そのために練習はもちろんの事、リードなどの準備をしなくてはならず、これが膨大な時間と根気を要する、想像を絶する大仕事なのです。特に私はモーツァルトなどの時代のクラシカルオーボエや、もう少し新しいロマン派の時代のロマンティックオーボエは楽器もこれまで自分の楽器を持っていなかったので、それらの楽器たちを用意するところから始まりました。

私はつくづくラッキーな人間で、そんな矢先にハノーファーを中心に演奏活動をされている日本人のオーボエ奏者と出会うきっかけがあり、彼が所有する楽器たちを譲って頂けるという、このタイミングにばっちりあったチャンスがありました。彼からまずはクラシカルオーボエ2本とロマンティックオーボエ1本を譲って頂いた訳ですが、そのうちクラシカルオーボエとロマンティックオーボエの1本ずつは正に当時作られた「オリジナル」の楽器なのです。そのロマンティックオーボエが作られたのはおおよそ1855年頃と推測され、クラシックオーボエはなんと1800年頃。まだベートーヴェンも生きていた頃の楽器なのです!

そのような古いオリジナルの楽器は普通劣化も激しく修理をしなくては吹けない物ですが、今回の場合は2本ともとても良く整備されていて、演奏が十分可能な状態でした。何しろ200年ほど前の楽器ですから、様々な奏者に演奏され続けて来たり、木そのものに年季が入った素晴らしい「音色」を持っているのです。これは研究されて音程も取りやすくなったコピーの古楽器では出すことが難しいところで、演奏が難しくてもぜひこのオリジナルの楽器を今回の演奏会でも使いたいと思い、年が明けてから毎日寝る時間も惜しんでそれらの楽器に合うリードを作り続けて今日に至る…という訳です。

様々な時代の楽器を操る「ピリオドオーボエ奏者」を目指す私にとってはとても良い大きな課題を与えて頂いたと共に、それらの楽器を通じて何か「ロマン」のようなものを感じる事が出来たとても充実した2ヶ月間でした。