先週には無事に26回目の誕生日を迎える事が出来た。去年の誕生日はベルリン古楽アカデミーのツアーでニューヨークに居たが、今年はブレーメンの自宅で静かに誕生日を過ごした。26歳の目標は「余裕」。精神的にも体力的にも、時間的にも…etc.「余裕」を持って、少しでも「大人の男」に近づきたい。
誕生日から少しさかのぼると、復活祭シーズンで今年も何回かバッハの「マタイ受難曲」を演奏する機会があった。そのうち一つのプロジェクトはオランダ・ユトレヒトでのNieuwe Philharmonie Utrechtとの演奏会。実はこのオーケストラとは去年もマタイ受難曲のプロジェクトでお世話になっているが、今年も一緒に演奏させてもらえた。去年と同じオーケストラ、同じ曲、同じ教会だったが、嬉しい事に一年の成長を自ら感じる事ができた。来年はオランダでの公演に加えてパリで演奏できるようなので楽しみだ。

さて、最近ある事に精力的に取り組んでいる。それは「ボーカル作り」。
ボーカルというのはオーボエの一部で、楽器本体とリードとの「つなDSCF1224ぎ」の部分。とても小さな部品だが、これが音程や音色、発音にまで影響を与えるとても大切な部品である。
ある理由があって、最近このボーカルを自分で作ることに時間を費やしている。「買えば良いのでは?」という質問もありそうだが、残念ながらこれもリードと同様にすべて手作りで、自分で作る方が時間や手間はかかるが色々と有利なのだ。

DSCF1226の作り方というのも簡単ではなく、まずはホームセンターでたくさんの工具を買い揃えるところから始まる。トンカチから金板、専用のやすりにガスバーナー…etc. 簡単に言えば、金板を0.01mmの単位で切り抜き、それをトンカチで叩いて丸めて継ぎ目を溶接する。
ステージ上では優雅なオーボエ奏者というイメージから完全にかけ離れた、「職人」という風貌である。しかしこの作業が演奏に大きな影響を及ぼすので、手間は惜しめない。一日中部屋にこもっての作業も、「作品」が完成すると無駄ではなかったのかと思う。